デザイン、って感じに友だちが塗ってくれた両手の爪がすこし剥げてしまったのを、隠すために塗った宇宙色のネイルホリックが乾ききらないのでこれを書いている。

BL919というこの色は両足の10の爪にも塗ってある。後輩の運転で何人かで倉敷に行ったとき、ひとりの女の子がわたしの爪先を見て、海ですね~と言ってくれた。壜のなかは宇宙だけど、均一に塗ると波のように光るのだ、この色は。

気が滅入りそうなとき、水のことを考えるようにしている。「人の感情は水のようにつながっているので、誰かに笑いかける人の感情は、見ているこちらの胸にも流れ込んでくる。」という一文があり、これは俳句同人『里』第175号の連載『成分表』での上田信治さんの言葉だ。水紋が、不穏を描かないように、わたしはすっと背筋を伸ばす。目で微笑む。考え事の尽きないバスの中や、好きな人の心まで指の届かない触れられない晩夏の夜に。そうするとなんだか楽になる。身軽になる。気持ちのいい水であろうとすることは、自身の泳ぐフォームもうつくしくするのかもしれない。たしかフォームがうつくしいほうが、呼吸も楽で遠くまでいけるはずだ。6年水泳を習ってくるしいフォームのクロールしかできるようにならなかったわたしが言うことなので、間違いかもしれないけど。

とっくに乾いたので、シャワーを浴びたら髪を切りにいく。色も染める。(世の男性は黒髪の乙女に目がないらしい。こんなことで髪色を暗くするのはとても癪だ。)

雨が降り出すまえ特有の、グルグルという雷の音がする。先の折れた傘を持ってバスで行く。